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番外編的何か

…毎日、休み時間でも教室に1人でいる子が居た。

…どうでもいい、自分だって似たようなもんだ。強いて違いを言えば、周りから嫌われてるかどうかくらいだ。

だからって、別に寂しくなんかないし、辛くもない。今こうして生きてる自分が好きだから、それでいいのさ~。



T……征菜の!大″惨事″恋愛戦争!…
あれから何年経っただろう。

昔みたいに1人で居るのも減ったし、当たり散らす事も少なくなった。
あの頃は「無愛想」とか「常に不機嫌」とか言われたが、今じゃ「年中無休で笑ってる」とか言われる始末。

まぁ、今も昔も、今の自分が好きだってのは変わりない。多分、どっち付かずって奴なんだろう。

「なんだ?珍しくボケッとして、笑えよベジータ」
「・・・・・。」
いつもの窓辺。僕の部屋は二階で、この窓から見える景色はなかなかいい。田んぼばっかりだけど
ふとその窓辺で、昔の事を思い出してた。多分もう戻れないであろうあの頃の自分。それが妙に懐かしくて。
「笑えよベジータ」
「…ナギ、別に聞こえなかった訳じゃないよ」
あの頃も、ここから外の景色をよく眺めてた記憶がある。むしろあの頃の方が多いくらいだ。
こうやって、眺めてて邪魔される事もなかったしね。
「完全体になった私に怯えているのか?」
「…そんなセリフあったっけ?」
「なかったと思う。あと今、『ナギ』って言ったな」
やってしまった。
「そろそろ歳だからね~」
「?」
いつもの笑顔で返すも、我ながら訳が分からない。でもなんとなく誤魔化せたと思う。
また向き直って外を眺める。今日は妙にカラスが飛んでる。
うちの地域はこの時季になると、毎年物凄い量の雪が降るのだが、今年は今のところ軽くしか降ってない。寒い事は寒い。
古い電気ストーブしかないこの部屋にとっては、全くもって辛い季節になったもんだ。
昔はずっと1人でストーブに当たっていたのだが、今では完全にナギに占拠されている。
まぁでも、別にあの子が満足なら僕はそれでいいと思ってる。こうやって以前と同じように外を眺められる事は変わらないのだがら。

向こうの僕も、こっちの僕も

「なんか考え事でもしてるのか?」
「ちょっとね~。…ああそうだ、ナギ、面白い話してあげようか~?」
「…お前がそういう言い方する時は、聞いて欲しいか話したい時だろ?」
流石に5年近く一緒にいると、嫌でもお互いの事が良く分かってしまう。
でもそういうのが、友情とか言われるんもんだと僕は思う。
「ははは、ご名答。じゃあ勝手に話しても問題ないね」
「ふっふん。勝手にしろ」
何が嬉しいのかは知らんが、満足げにそう言うとソファの上でくるっと向きを変え、こっちを見てくるナギ。
こちらも、部屋の中でも一回り寒い窓辺から離れ、ベッドの脇に腰掛ける。
普段のようにナギの座っている隣でもいいが、たまには気分転換だ。ベタベタしてても仕方ない。
「…これはね、知り合いっていうか、僕がずっと前から知ってる兄ちゃんの話しなんだけど…」


「…その人は、小学生の頃にずっとイジメにあっててね。それがまた面倒な事に、異性、つまり女の子からのイジメだったらしいんだよ…」





もう学校なんて行きたくない。

もう誰にも会いたくない。

親だって信じられない。あんなの親じゃない。

僕なら1人でだって生きていける。

ちゃんと買い物もいけるし、料理だって出来る。お金だって、周りの大人たちが一生かかっても手に入らないくらい持ってる。

…どうせ、誰も、僕の相手なんてしてくれない…。


「…これが相当なもんだったらしくてね。今でも軽く女性恐怖症らしい。」



昨日も1人、今日も1人、明日も1人、何も変わらない通学路。馬鹿馬鹿しい。
いい加減飽きた、無駄。意味ない。
勉強だってそうだ、馬鹿は馬鹿だし、分かる奴は寝てても分かる。僕は分かる側の人間だ。…何もしたくない…。

…僕は本が好きだ。

これさえ読んでりゃ周りの人は話しかけて来ないし、自分の世界ってわけでもない、何処か遠い世界に逃げてられるし、いろんな事を知れる。
馬鹿みたいに毎日はしゃいでる連中なんかとは違う。僕は違うんだ…
「…あ~れ~、またなんか読んでるよぉ~?」
「この前のはもういいの?それ面白いの?」
「あ…」
また、いつもの子達が来た。嫌…。
周りの人たちは、まるでそれが当たり前の光景のように無視している。
実際そうなのかもしれない。これは別に特別な事じゃなくて、極有り触れた日常なのかもしれない。
ここまで来ると、他の人は誰も話しかけられない。
「ふん、気持ち悪い。お前なんか読まれたら本が可哀想だよ」
「そーそー、あたし達みたいな可愛くて知的な人に読まれないとぉ~」
馬鹿言わないでほしい。
「それ、借りてくね。いいよね?…ね」
一瞬、声色が変わった気がした。
「…あ…うん…。」




「…貸さないと裏で他の男子に殴られたり、帰り道に思いっきり指さされて根も葉もない嘘で馬鹿にされたそうだ。」
「…酷い話だな」
珍しく真面目な話でビックリしたのか、ナギは軽く目を細めつつ、ソファにゆっくりと座り直した。
征菜をそれを見て、軽く鼻で笑うと、こう続けた。
「そんなに沈まなくてもいいよ。まだ続きがあるから…」



そんなのが5年近く続いた。
そう、小学校生活丸々殆どだ。
もちろん貸した本は帰って来なかった。最初のうちは先生に相談したりしたが、相手にしてくれなかった。
酷い時は多重人格とまで言われた。わけがわからない。もう死ぬまで先生という存在は信じれそうにない。

そんなある日の事だ、いつものように、あの連中がやってきた。

「あれー?今日は何も読んでないの~?」
今日は地持ちの本を全部貸して…いや取られてしまって読むものがないので、仕方なく窓の外を眺めていた。
この頃には、今、目の前に居る連中以外からもイジメはあった。靴を隠されたり、みんなの前で晒し者にされたりもした。
思えば、まともに最後まで読んだ本は全体の半分ほどかもしれない。
「…今日は、そんな気分じゃないから」
「珍しい事もあるのね~」
もちろん女の子たちは、今日は読んでない理由を分かって言っている。
だからといって、いちいち反応するのも馬鹿らしい。
「…ふっふん、向こうの子もいっつも本読んでるわよ。今度話してもみれば?」
「こいつには無理よ無理」
「それもそうね!きゃはははは」
最初から話を合わせていたのだろう。気色悪い。
そう言うと、大声で何かを話しながら何処かに行ってしまった。黙って僕も窓の外を眺める。
殺風景。この辺は田んぼばっかりだ。それでも他にする事がないのだから、些か仕方ない。
…さっき言っていた、その、本読んでる子の事は知っている。今年始めて同じクラスになった女の子。
どんな子かは全く知らない。でも、たまに、僕が教室にいる時に、向こうもいる事がある。
ただ、向こうは僕とは違う。普通に友達もいて、普通の生活を送ってる。もしかしたら、いつもの連中とも繋がってるかもしれない…。怖い。
そんな事を考えてたら、誰とも関われなくなるのは自分でも分かっている。でも、それでもういい…。
目を閉じ、頬杖をついたままの体制で寝てしまうと思った。

「……ねぇ、君、…えっと。…暇?」
「………?」

正直不意打ちだった。
窓とは逆方向。聞いた事のない声が聞こえてきた。
僕の嫌う、女の子の、高いけど、大人しくて可愛らしい声。
「…なんで?」
とりあえず目は開けたが、振り返る気はない。いつもの連中もいて、笑ってるかもしれない。
「…えっ…いや…さっき、なんか指さされたから…聞いてみただけ…」
どうやら、さっきの会話の子らしい。そういえば、あの連中が指さしてた気がする。だったらあの連中に話しかければいいのに、
単純に内気であいつらには話しかけにくかったのか、僕個人に用があるのかは知らない。
…もしかしたら、あの連中は僕だけじゃなくて、他の子も虐めてるのかもしれない。そんなの、僕は関係ないが…。
「…そう…。」
「…………。」
しばらく無言が続くが、まだ後ろに居るみたいだ。
分からない。なんなんだろう。何か企んでいるのだろうか。
「…ええと、ああ、あの!ちょ、ちょっとお願いっていうか、なんていうか…」
「…………。」
いい加減腹が立ってきた。どうなってもいい、いつもの連中が居たとしても、どうでももういい。
「…何、さっさとしてよ」
顔と目だけ動かして後ろを見る。とりあえずいつもの連中は居ない。
さっきから背後にいる子の顔に目を向ける。流石に角度がきつい…。

「…こ、今度、私にも本、貸してくれない?」

何年かぶりに自分に向けられる笑顔を見た気がする。…さっきより、優しい感じの声だった。




「…最初は、いつもの連中が面白がってやらせたんだと思ったらしい。仕方ないから次の日、適当にもう読んだ本を貸してあげたらしい。」
「うんうん。それで?それで?」
いつの間にかナギも聞き入っていた。こういう反応されると、話し手としては悪い気がしない。
「まぁまぁ、まだ結構あるんだから、落ち着いて聞いててよ。…それでね。貸してから1週間後くらいに…」




「は、はい!これ…この前借りたの、もう読んだから…」
「………っ!」
まともに返ってきたのは初めてだった。
さぞや驚いた顔をしていたと思う。この時点で、始めていつのも連中とは関係ないと気付いた。
多分彼女は、素直に僕の読んでた本に興味があって、この前の一件が引き金になったのだろう。
「…どうしたの?」
おそらく、向こうから見たら不自然の反応だったのだろうが、前のように窓の外を眺めてた矢先にこれだ。
多分、ビックリするなと言う方が難しい。
「…あ、ううん。…ありがとう…。」
「け、結構面白かったよ!…普段から、こんな感じの読んでるの?」
「…いや、日によってまちまち、いろいろ読んでるけど…」
「…ま、また今度、貸してくれる?」

…?

…一瞬、何をこいつは言ってるんだと思った。


「…うん。いいよ」
「あ、ありがとう!」

…こいつは、いちいち感動詞が多い気がする。




「それ以来、めっきりイジメは減ったそうだ。単純にいじめっ子が飽きたのか、その子が居てやり辛かったのかは分からない。けど、虐められてた本人は、凄い嬉しかったらしい。」
「嬉しかったって…何が?」
「…それからよく、その子とは本の貸し借りしたり、休み時間に話したりしてたそうだ。向こうは元々大人しい子だったから、いつからか逆に、自分が話しかけに行くようになってたらしい。」
ナギは、征菜が話してる間は口を挟まず、大人しくて聞いている。
「そういう、今までまわりが自分を無視してたり避けたりしてたのに、何も気にしないで普通に関わってくれるのが、凄い嬉しかったんだとさ。」
「…いい話だな。」
すっかり終わったった~って感じのナギ。それと、今日の征菜は「らしい。」っていう単語をよく使っている気がする。
「ははは、それからしばらく経ってね。2人とも中学生になって、同じ部活に入って、すっごい仲良くしてたんだとさ。そのうち共通の友達とかも出来てきて、晴れて兄ちゃんは普通の男の子になったってわけだ。」
「今はどうしてるのだ?」
「ふっふん。実はまだまだ続きがあるんですよぉ~。それから更に2年半、お中学三年生になった。そこまで来ると、兄ちゃん流石に恋心ってのが付いてきてね~」


「その頃には、少なからずとも女友達も居たらしけど、やっぱり女子ってのは怖くて仕方なかったらしい。例の子を除いて…」





…いつからだろう。

相変わらず僕の根っこは何も変わらない。
自分1人でも生きていける。なんでも出来る。そんな事ばっかり思ってる。

…でも、いつからか、″あいつ″とだけは、他の誰も居なくても、一緒に居たいと思ってた。

…昔の僕には、本で読んでも分からなかった、全く知らない。今でも分からない。そんな感情。

…あの頃とは違った、『どうしていいか分からない』に悩まされる…。


「ねね、高校とかどうするつもり?」
「んー?そうだなー…」
いつからか、僕の方があの子より元気で、あの子はあの頃の大人しさに磨きがかかったように、クールっていうか、大人っぽくなっていた。
「まぁ、近いところでN高か、ちょっと無理してS高ってとこかな」
「お、おう。僕には無理そうだよ。」
あの頃は『自分はなんでも(勉強含む)出来る』と思っていたが、現実は厳しかった。
理数系科目は問題なかったが、英語だけがどうしようもなかった。
「やっぱお前はK高か?」
「うん…多分」
「多分って…あそこ男子校だろ?マジで言ってるのか?」
「…僕、女の子って、苦手だし、…あ…君が、居るから…別に辛くない」
精一杯の告白だったらしい。
「…私は男子校には行けんぞ」
「いや、そうじゃなくて…」
…周りの人たちがクスクスと笑う。もうほとんどの人が僕の事を知ってる。
下手したら、本気で知らないのはこの子だけかもしれない。
「…と、とにかく、同じ高校には行けそうにないかな…」
「そっか…」
お互い、お互いと同じ学校に行きたいと言った事はなかったけど、少な駆らずとも心の中では「同じ学校に行きたい」と思ってたと思う。
「…N高なら、ちょっと勉強すればイケるって先生が言ってたけど、正直もう手いっぱいで…」
「……今度、なんか教えてやろうか?」
「えっ、だ、ダメだよ!…き、君には、その、自分の道っていうか、僕のためなんかじゃなくて…その…」
「…はぁ…。お前、いちいち感動詞多いよな」
…いつからだろう。立場が逆転したのは





「…それで、結局同じ高校にはいけたのか?」
自分の事のように聞いてくるナギ。純粋っていうのはこういう子の事を言うのかもしれない。
「…結局、同じ高校には行けなかったってさ。兄ちゃんはK高、あの子はS高。最終的には、兄ちゃんもN高なら問題なくいけたらしいが…」
「が?」
「…ここだけは聞いてないんだよ。単純に、無理して上の高校行っても仕方ないって思ったのか、あの子が居ないならどうでもいいって思ったのか…もしくは、まだ女性恐怖症があったのか。それと、最後の最後までN高なら大丈夫って事を、あの子には言わなかったそうだ。」
ふと目を細めて話し続ける。
「これは僕の予想だけど、多分、兄ちゃんはあの子には我慢しないで欲しかったんだと思う。自分の中では大きな存在だったけど、向こうからしたら自分なんて…って、思ってたとかさ」
「…真実は本人だけ知るって事か」
「そ。んで、THE 男子校に入っちゃった兄ちゃんだが、これがまた上手くいかなかったらしくてね、半月で鬱になったらしくて…」





…馬鹿馬鹿しい…。昔とは全く違う意味での馬鹿馬鹿しい。
ここはクズばっかりだ、これも昔とは全く違う意味。本物の馬鹿ばっかりだ。
アホらしい。なんでこんな奴らと一緒に居なきゃならん。

…あいつ、元気かな…。



「そん頃には、もう殆どあの子がどうしてるかは分からなくなってたらしくてね。そしてら今まで見えてなかった周りが急に見えてきて、嫌になったらしい。やっぱり流石に男子校は辛かったんだって」



…会いたい。


…なんにも無くてもいい。前みたいに、仲良く出来れば、なんとでもなる気がする。


…ずっと言えなかった事、言ってあげたい。






「…何を思ったか、電話で呼び出してね。今年の5月、告白したんだってさ。ずっと前から好きでしたってね」
「え!今年!?って事はお前と同い年!?」
「そ、2012年。返事はノー、理由は教えて貰えなかったというか、怖くて聞けなかったそうだ。」
いつものように大ぶりなジェスチャーを付け始める征菜。調子が出てきたのかもしれない。
「なんで同い年なのに兄ちゃんって呼んでるの」
「なんとなくだよ、なんとなく。それから更に鬱。表面上は中学ん時と同じようにしてたらしいが、ま~これが何をやってもダメ。無理やり忘れよう忘れようといろいろ試したらしいが、結局『せめてもう一度、ちゃんと話したい』っていうので落ち着いたんだと」
「…落ち着いたって言えるのか、それは」
「さぁ?もうこの辺は本人に聞いた話じゃないからアレだけど、お互いの誕生日とかはちゃっかり会って話したらしいが、どうも前の通りにはならなかったらしくてね。」
「そりゃそうだろうなぁ…」
「うん。確か来週の土曜やらに、兄ちゃん、なんかちゃんと話すとか言ってたけど…あれ、先週だったかな?」
もう記憶が曖昧なのか、それとも何か誤魔化してるのか、征菜の言葉に信用性は少ない。
「風の噂だと、あの子は付き合ったら周りからいろいろ言われたりとか、彼氏彼女とかっていう枠みたいなのが嫌だっただけらしい。もしその通りなら、兄ちゃん達には幸せになって貰いたいところだが…噂だしね」
「へぇ…その兄ちゃんってのとは、連絡取れないのか?」
「ん~、実は中学一緒だったんだよねぇ~。だからいろいろ知ってるんだけど、今は別だし、連絡先はその5月の一件以来不通だし…ダメだね。というところでこの話はお終いっ。後は皆様のご想像にお任せしますっ」
そう言い切ると、思いっきりベッドに倒れかかってうつ伏せになる。もう自分から話す気はないらしい。
「そいつらの名前って、なんていうんだ?」
「プライバシー保護のため、教えられませーん」
うつ伏せのまま曇った声で答える。話し疲れたのだろうか。


「…いつか、兄ちゃん達が幸せになる時がきたら、紹介してあげるよ」










…そういうと、征菜はスヤスヤと寝息を立て始めた…。
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Author:セーナ
妄想日記書いたりオリキャラのイラスト描いたりしてる。




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