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そつぎょーしき

.


…個人的にはさ、卒業式とかどうでもいいんだよね。


T……あたいとナギの夢色卒業式…
.




「…斬矢、いままでありがとう」
「…え?」
…今日は卒業式、校長先生とかのめちゃくちゃ長い話はもう終わり、今は放課後になっている。
卒業生も在校生も、共にぎゃーぎゃーいつまでも玄関前で騒いでいるなか、征菜と斬矢は誰も居ない教室に来ていた。
「…凄い楽しかったよ、本当に」
「あ、いや、そ、そんな事言われても…」
さっきまで楽しく普通の話をしていたのに、突然不思議な事を言い出した征菜に斬矢は困惑を隠せない。
「…ねぇ、斬矢、僕は、これで卒業しちゃうけどさ…」
「う、うん…」
征菜は軽く微笑みを浮かべると、さっきまで机についていた手を離し、斬矢の手を取り…
「…あ」
「…前から言おうと思ってた、僕も斬矢のことが好きだ。遠距離でもいいから付き合って」
…え。


「…ええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」


「いやいやいや!!そそそそ、そんな事言われても!!!じょじょ、冗談だろ!?!?」
「冗談じゃない!!マジ!マジ本気!いままでキスしたいくらい!!」
「なんですとぉおおおおおお!!!」
そ、そんな、まさか、征菜が、ええ!?あわわわわ!!







「…嬉しすぎて失神しそうなのじゃぁあああ!!!!」


「…………あれ…」







…夢じゃん、夢オチじゃん。










「…はぁ…なんなのじゃ全く…」
洗面所の鏡の前に立ち、ため息をつく斬矢。パジャマは半分はだけ、髪は跳ね放題で顔には疲れが見える。寝る時も付けっぱなしの眼帯はよれよれになっている。
…今日は卒業式、在校生である斬矢とって直接は関係ないが、征菜や彩が卒業生であるので全く関係ないわけではない。
それに、仮に全く関係なかったとしても、卒業式ともなれば、やはり身なりくらいは整えていく必要がある。
「…寝癖が」
しかし面倒な事に、朝からアホな夢見たのは関係ないとは思うが、今朝は寝起き顔が酷い。
「…はぁ…」
とりあえず櫛を手に取り、寝癖だらけの髪を整える。時間はまだまだあるからゆっくりでもよい。
「・・・・・・・・・。」


…なんであんな夢、見ちゃったんだろ。











…今日は卒業式だ。









甲高い女子たちの黄色い声が響き、男子たちの無駄に大きくテンションの高い声が響く。
無駄に長い卒業式は終わり、今はその放課後になっている。
卒業生たちはいつまでも玄関前に残り、写真を撮ったりメルアドを交換したりしている。
部活の後輩とかも連れてきて大騒ぎしてたり、担任の先生と記念撮影してる人たちもいる。
「いやー、遂に中学卒業しちゃったわー!」
「私はもう一回卒業してるけどな」
彩は卒業証書の入った例の筒を振り回しながら、ナギは例の筒をどうでもよさそうに眺めながら言う。
征菜が居ないで彼女らだけというのは珍しい。
「明日から入学式まで遊びまくるわよーん!」
「お前は元から遊びまくるってるだろ!」
「な、なんのことかしら…」
態とらしくと目線を逸らす彩、実際遊びまくってた事に変わりはない。
「よー、お前らちゃんと高校受かったかー?」
例の筒で肩を叩きながら珍しくご機嫌なりーながやって来た。
「受からないとでも思ったか?私も彩も征菜も合格だ」
「ん、りーなももちろん合格だ!」
いや、誰も聞いてないんですけど、
…よく、一人称が自分の女の子は性格悪いというが、こいつは恐らく天然である。
「そっかー、みんな受かったか、うんうん、そういや、せーやはどうした?」
今でも征菜の事を「せーや」と呼ぶのはこいつくらいだ。
「そう!それ!せーちゃんが居ない!」
彩は某黄色いスーツの人張りの「ゲッ○ゥ!」という擬音が合いそうな指差しで言ったと思うと「せーちゃーん!」などと叫びながら去ってしまった。忙しい奴だ。
…卒業式が終わって、見送り式の途中までは一緒に居たのだが…。
「…そういや、斬矢も居ないな」
…最後にみんなで写真撮ろって約束してたのに。




「せーーーーちゃーーーん…!!」
「…あいつは相変わらずテンション高いねぇ…」
…我らが征菜たんは1人、三階の窓からその様子を上から眺めていた。
「…いやー、これでこの学校ともおさらばだねー、特に感想はないけど~」
征菜はこういう時、そこまで感動したりとかしないタイプである。
窓枠に体を預け、卒業証書の入った例の筒で手を叩きながら漫画みたいな顔でぶつぶつと独り言を続ける。
「高校もさくっと受かったし、ナギとか彩とも同じ高校になったし」
下方から他の生徒たちの声が相変わらずうるさく響いている。
「なーんも気にする事はない、四月からもいままで通りのんびり過ごせばいい」
向こうの方で彩が馬鹿でかい声で叫んでるが見える。恥ずかしくないのだろうか。
「…ああ、そろそろ行かないと」
征菜が今いる部屋は、本来生徒の立ち入りは禁止されている職員用の会議室だ。
ここからなら玄関前の様子が一望出来るからと、征菜は先生たちが居ないスキを狙って侵入したのである。
征菜は窓枠から離れ、誰も居ない会議室を歩き出す。そして誰も居ないのに無駄にジェスチャーを付けながら話し出す。
「…高校生活、楽しみだねぇ。もしかしたら、つまんないかもしれないけど、新しい事が始まるという事は誰でも楽しみな物だよ」
出入り口を開け、会議室から出る直前、征菜は誰も居ない室内に向かって
「な、あんただってそうだろ?」
と言い、最後ににっと笑って部屋を去っていった。

「…うーん、ま、楽しみといえば楽しみね」



「…そういやいろいろあったなぁ…」
会議室から出ても征菜の独り言は続く、さっきまでは誰に言っているような感じであったが今は完璧な独り言になっている。
「最初の頃は僕とナギだけだったのに、途中で彩が来て、そのうち斬矢がついて来て、くくっ」
誰も居ない廊下を笑いつつぶつぶつ独り言を言いながら歩く姿は変人以外の何者でもない。
「そういや結局、冬休みの間にどこにも行けなかったなー、卒業旅行でも行こうかな…」
無駄に手すりを使いながら階段を降る。外からは相変わらずうるさい声が響く、逆に校内には征菜の声しか聞こえない。
「…ん?」



「…卒業か」
誰も居ない教室、ここは二階だから三年生の教室だ。
征菜に同じく、斬矢も誰も居ない学校に残っていた。
「…ここかな」
夢の中で征菜が触っていたのと同じ机を触る、恐らく征菜の机。
斬矢はその机の上に座り、誰も居ない教室を見渡す。
黒板には卒業生たちの落書きがいっぱい描かれて、まさに夢の跡地って感じだ。
体の向きを変え、窓の方を眺める。ここからは外の様子は見えず、見えるのはただの木と空だけである。
「・・・・・・・・・。」

…本当に行ってもいいのだろうか。

斬矢は朝、彩やナギに、放課後一緒に写真撮ろうと言われたのだが、何故か彩たちの元には行かず、1人だけ校内に残っていた。
…征菜たちの卒業式の写真に、年下である自分が入っていいのか。そんな事を考えていた。
それと、このまま1人でこの学校に残るのはやっぱり淋しい。今写真なんて撮ったら、余計に別れが辛くなる。
なにより、今朝の夢といい、征菜の事が気になる。
「……あーあ、せーな…」
「呼んだー?」
「・・・・・・・・・。」

…今、後方からせーなの声が聞こえた気がする。

恐る恐る声のした方を振り向く。
いやいや、今頃あいつはナギたちとぎゃーぎゃー騒いでる頃で…。


「ん?こんな所でどうしたの?」」
やっぱり後ろに物凄い笑顔な征菜が居た。
「…わぁあああああ「馬鹿!先生たちに見つかったら怒られる!!」
征菜は叫びそうになる斬矢の口を慌てて抑える。そして落ち着いたのを見計らってから手を離し
「放課後に勝手に三年生の教室に忍び込むとは、斬矢も悪い子になったもんだ。うんうん」
「何を偉そうに言っておるのじゃ…せーなこそなんでここに…」
「会議室からみんなの事眺めてた帰り!」
いや、そっちの方が何倍も悪いと思う。
なにより、会議室からの外に行くなら教室の中にまで来ないはずだ。
「んで、悪い子ちゃんの斬矢は何やってたの?迷子?」
「どうやったら自分の学校で迷子になるのじゃ!!ちょっと寄ってみただけだ!」
机からぴょんっと飛び降り、教室を去ろうとする。しかし妙に征菜が邪魔してくる。
「…なんだよ」
「ふふん、どうでもいいかもしれないけど、さっき座ってたの僕の机だよーん」
「えっ」
…そ、そっか…夢の中で、征菜が触っていた机はやっぱり征菜の机だったんだ…。
「…ど、どうでもいいのじゃ、私は帰るからな」
今度こそ征菜を押しのけて教室を出ようとする。これ以上話してたら気が狂いそうだ。
「あ、そうそう、彩たちが写真撮ろうってさ、斬矢も一緒にどう?」
「あ…」
思わず立ち止まる。今出ていけば間違いなくナギたちに会う。そしたらやっぱり…。
「…いい、私は別に撮らなくても…関係ないし…」
「そう?みんな気にしないと思うよ、そういうの、僕なんて斬矢と撮りたいくらい」
こっちからは見えないが、征菜がにっと笑っているのが声からも分かる。この笑顔を見るのも最後かもしれない。
「ていうか正直僕なんて、こういう記念とかどうでもいいし、ちょっと行く学校が変わるからってどうしたって言うんだか」
「…でも、私の場合さ、もうお別れかもしれないし…」
「お別れ?誰が?引っ越しでもするの?」
「そうじゃなくて、私だけこの学校に残って征菜が高校行ったら…!」
妙に力が入る。
「……何言ってんだかねぇ…」
ふっと征菜が斬矢を追い越して教室の外に出る。いつもと声が違う気がする。
そのまま2、3歩廊下を歩いていく。
「ちょ、ちょっと!どこ行くのじゃ!」
呼びかけるとピタッと止まり、振り返りもせず突き放すように言う。
「馬鹿じゃない」
「え…?」
「別に別々の学校だからってどうしたっつぅーの、そんなこと言ったらネットの友達なんて住所も電話番号も知らなくたって毎日仲良くやってる」
無駄にジェスチャーを付けながら続ける。
「それこそ遠くに引っ越すわけじゃないし、何を心配してんだ?寂しくなったらいつでも呼べはいい、すぐ遊びに行ってやる」
「…本当に、絶対か?」
「おう、それどころが僕の方から呼んじゃうかもね。それに来年斬矢も同じ高校受ければいいじゃん、歓迎するぜ?だからさー」
くるっと振り返って、いつもの演技なのか天然なのか分からない笑顔で右手を斬矢の目の前まで差し出して、いつもの征菜は声で言う。
「一緒に写真撮ろっ!きりやっ!」
「あ、うう、せぃ…ぅ、うわぁーーん!!!」
斬矢は征菜の手を掴んだと思うと、途端に子供みたいに泣き出した。
「あー、分かった分かった泣くな泣くな、ほら頭撫でてやるからこっちこい…」
右腕はガッチリ斬矢が掴んでいるので空いている方の左手で頭を撫でる。
こうやっていると、まるで妹を持ったみたいな気分だ。…いや、僕、妹萌えだけは無理だが。
「ほら、いつまでも泣いてないで、このままでもいいから行くぞ」
「うぅ、うん。もうちょっと…」
何がもうちょっとだよ何が。




「…せーちゃーん!!」
一方、彩はずっと征菜を探していた。
ナギが花壇に座りながら「もういいじゃん…そのうち出てくるって」とあくび交じりに言っても全く聞いておらず、見てるこっちが恥ずかしい。
「はっ!!もしかして学校の中に居るかも!?!?」
「えー、流石に中には誰も居ないだろー」
「りーなももう待ちくたびれぞ、探しに行くならさっさと行ってきてくれ」
「オッケー!いますぐ行ってくるわ!!!せーーーちゃーーん!!!」
彩は先生とかが見たら説教されそうな勢いで駆け出し、学校の中の方に消えて行った。せわしい。
「…あいつ、自分の妹の事全く気にしてないな」
「だって彩だもん」


「せーちゃーん!居たら返事して~、居ないなら居ないって言って~」
征菜が見たら「其処ら中で人の変なあだ名を叫ぶのはやめて欲しい」と言いそうな勢いの彩。やはり校内に人の影はない。
「全く、どこ行ったのかしら、こっそり2人で写真撮ろうと思ってたのに…」
一階を全部回り終えた彩は、階段を登って二階へ向かう。
この様子だと全部見て回るつもりらしい。
「ん?なんか変な声が…」
なんだろ、女の子の泣き声みたいなのが聞こえた気がしたんだけど…。
「……あっ!!せーちゃん!!おーい!!」
「お、やっほー彩~、ごめーん遅くなってー、探しに来てくれたのー?」
「げっ!?」
声らしき音がした方を見てみれば、
あーら不思議、征菜とその腕にガッチリ掴まった斬矢が居るではあーりませんかー…
「…って、何やってんの、あんたたち」
「いや、べt「べべ、別に何もしてない!!」
「痛っ!!!」
バシッと音がするくらいの勢いで征菜の腕を振り払うと、斬矢はぷいっと彩に背を向けてしまった。
「あれ、あんたもしかして泣いてる?さっきの泣き声斬矢?」
「違う!!泣いてなんかないじゃ!!!」
振り返って顔を真っ赤にして「そうです泣いてました」とも言わんばっかりに反発する斬矢と
「あ、そう、ならいいけど~」
と、嫌味な笑顔の彩。姉は強し。
「…全く。はいはい、いつまでも馬鹿なことやってないで。彩、写真撮るんだろ?遅くなっちまったしさっさと撮ろうぜ」
「あ!!そうだった!!行きましょせーちゃん!!」
「だからそのあだ名はやめろって言ってんだろ!!」
すぐにまた勢いよく走り出す彩とそれを追いかける征菜、それと若干戸惑いながらも斬矢も追いかける。
「ほら、斬矢も早くしなさいよ!」
「あ、うん!」
「…な、彩だって全然気にしてないだろ?」
「…うん!」
「やばい斬矢可愛い」







「お、やっと来たか、おーい!せーなー!さっさと写真撮って帰るぞー!」
「よーすっ!たまにはりーなも入れてくれー!!」
玄関を出れば、ナギとりーなが出迎えてくれた。いいねぇこういうの。
…そういや、あんたら今回出番少なかったな。
「…それじゃ撮りますよー」
「「「お願いしまーす!」」」
その辺にいた後輩にシャッターをお願いし、学校の前でみんなで写真を撮る。
「はいチーズ」
「「「いえーい!!」」」


パシャッ!






…おそらく僕は、この時の写真を死ぬまで大事にするだろうね。
正直、こういう記念とかはどうでもいいけど、僕にとってみんなで過ごした三年間は欠けがいのない思い出で、これその集大成ってやつだ。

「…ナギたん、これからもよろしくね」
「ん?なんだ急に?別に高校行ったからってお前なんて特に今と変わらないと思うぞ」
「何を言うか!あたいはこれから大人になるんだもーん」
「せーやが大人…ぷっ」
「そこ!!何笑ってんの!!!」

明日からも今までと何も変わらない日々が続くと思うけど、でもやっぱり、一つの区切りとして、今僕は中学校を卒業した。
こいつらと一緒に、なんにも変わらないこいつらと一緒に、そういうのを、これからも大事にしていきたいから。

「全く、…彩と斬矢もよろしくな」
「あったりまえよ!高校どころか10年後も20年後も30年後もよろしくしてあげるんだからね!!」
「いや、それは、ちょっと…」
「なによそれー!!!」
「…あ、そうだ彩、今度卒業旅行行かない?冬休みどこにも行けなかったし」
「あ!!いいわねそれ!!行きましょ行きましょ!!
「…なぁ、せーな」
「ん?どうしたの斬矢?」
「…今度からさ、せーやくんって呼んでもいいか?」
……え?
「…いや、別にいいけど、なんで」
「…なんとなく」
何処かに頭でもぶつけたのだろうか。
「そ、そうか…、…あ、そうだ、ついでにりーなもよろしく」
「なんでりーなだけ『ついで』なんだよ!」
「いや、高校別々だし、うん、ばいばい」
「もうちょいなんか感動のお別れ的なの考えろよお前wwww」


僕とこいつらとの日記帳はまだまだ空欄ばっかりなんだ。
こんなのまだまだ序章に過ぎない、こえからもずーっとずーっと続いてく。
まだ中学生なんだぜ?こんなところで終わってたまるか。


「どーせどっかその辺で会うだろうよ、いい意味の腐れ縁って奴さ」
「そんなこと言って…ほれてまうやろ!!!」
「感動的な場面で空気凍らせるのやめてください」
「え、いや、いまのは…くっ、くそ!覚えてろよ!バイバイ!!」
「あ、おい!!」
なんか急に捨て台詞吐いて走って帰っちゃった。
「「「…あーあ」」」
ナギたちが一斉にため息をつく、え、何この空気。





…もうすぐ僕らも高校生だ。



…でも、もう少し中学生編、続くかもね。

































「あ、会議室に卒業証書忘れて来た」
「「「え″」」」

































オマケ


003.jpg

朝からアホな夢見て飛び起き、夢だと気付く斬矢の図。



ちなみに斬矢があんな夢見た理由は、ただの出オチです。
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セーナ

Author:セーナ
妄想日記書いたりオリキャラのイラスト描いたりしてる。




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